広島の新たな迎えの文化を形作る『はなへんろ』のウェルカムボード
広島の工芸の世界で、新しい一歩を踏み出す作品が静かに形を成しています。それが『はなへんろ』と呼ばれるウェルカムボードです。現在、その制作は最終段階にあり、全体の約八割が仕上がっています。これは単なる看板ではなく、訪れる人々を迎え入れ、場の空気を整えるという「迎えの文化」を具現化した作品なのです。
職人の技が織りなす調和
このウェルカムボードの制作においては、広島の金仏壇の伝統技術を土台にしながら、神楽衣装に使われる金糸刺繍や大竹地域の手漉き和紙が巧みに組み合わされています。普段は出会うことの少ない異なる技術が「迎える」という共通のテーマのもとに一堂に会し、独自の調和を生み出しています。
- - 金組子は光を柔らかく通し、
- - 金糸刺繍は奥行きと気配を演出し、
- - 手漉き和紙は空気感を持たせ、
- - 黒漆と手打ち金具が全体を引き締める。
これらの要素が互いに補完し合い、空間に自然な「間」を生じさせています。
工芸の時間の大切さ
現在、制作は最終調整の段階にあります。職人たちは光の当たり方や刺繍の質感、素材同士の呼吸を慎重に確認しながら、作品を仕上げています。工芸は一瞬で完成するものではなく、時間をかけることで静かな存在感を生み出します。
このウェルカムボードも、制作の途中段階が持つ美しさを大切にしながら成形されています。
異なる文化の調和を目指して
『はなへんろ』の目指すものは、ただ伝統を守ることではありません。異なる文化や技術の境界を越え、自然に溶け合う場を確立することです。このウェルカムボードは、人々と空間が初めて出会うところに置かれ、言葉なくとも歓迎の気持ちを伝えることができる静かな装置でありたいと思います。それは工芸品でありながら、空間の一部として機能する“小さな建築”とも言える存在なのです。
地域に根づく技術と現代の暮らし
このプロジェクトは、広島の伝統技術を現代に接続する新たな挑戦でもあります。将来的には、国内外での展示も視野に入れ、工芸が日常生活の中で再び息づく場を作りたいという願いがあります。
このウェルカムボードは、広島で人と場所を柔らかく結びつけ、新たな出会いを生む存在となることを目指して製作されています。
そして、完成の時は近づいています。
『はなへんろ』について
『はなへんろ』は、広島に根付いた手仕事を再編集し、現代のライフスタイルへ提案する工芸プロジェクトです。異なる技術が調和することで生まれる静かな美しさを通じて、新しい迎えの文化を創出していきます。