過疎地の健康問題解決を目指すNurse and Craftの挑戦

Nurse and Craftが描く未来

広島県呉市に本社を構えるNurse and Craft株式会社が、一般社団法人インパクトスタートアップ協会の第5期正会員に加盟した。この加入により、同社は過疎地域の健康問題解決に向けた新たな挑戦を加速させることとなる。

地域の現状と課題

大崎下島は、高齢化が進む過疎地であり、人口は約1600人にのぼる。高齢化率が70%を超える地域も存在し、介護や医療サービスの不足が深刻な問題となっている。住民は主に高齢者で構成され、特に独居世帯や老夫婦の割合が高く、医療にアクセスするのが困難な状況が続いている。そのため、住民の孤立や社会的な不安が増大しており、地域のコミュニティも弱体化している。

大崎下島は本土と橋で繋がっているものの、交通費や不便な交通手段のため、外部の医療サービスを利用することが難しい。このような状況を打破するために、Nurse and Craftは新たなサービスを展開し、地域に根ざす取り組みを進めている。

目指す方向とN&Cモデル

Nurse and Craftが掲げる目標は、「過疎地を健康不安のないまちへと再生する」というビジョンのもと、高齢社会における健康問題を解決することである。そのために、地域に拠点を設けて実際の課題に向き合い、N&Cモデルという革新的な解決策を見出している。このモデルには、以下のような具体的な施策が含まれる。

1. 訪問看護サービス

遠隔医療の推進や、社会的処方としてのコミュニティランチ、さらには高齢者の医療リテラシーとデジタルリテラシー向上のための健康教室の開催など、多様なサービスを通じて地域住民の健康をサポートしている。

2. STARTWELL

高齢者向けのヘルスケアサービス「STARTWELL」では、在宅で生活する高齢者が抱える健康に関する不安や孤独を解消するため、デジタル技術とリアルなコミュニティの融合を図っている。健康管理アドバイスやコミュニティランチを通じてQOLの向上に貢献する。

3. ヘルスツーリズム

医療介護従事者を対象にしたリトリートツアーを展開し、心身のリフレッシュや地域医療、先進的なヘルスケアについて学ぶ機会を提供している。地域散策やオーガニック畑の体験を通じて、参加者の健康意識を高め、地域の魅力を再発見する活動も行っている。

インパクトスタートアップ協会の役割

インパクトスタートアップ協会は、社会課題の解決と持続可能な成長を目指す企業の集まりであり、今回のNurse and Craftの加盟はその一環である。協会は、正会員206社と賛同会員10社から成り立っており、政財官との協働を通じて持続可能な社会作りに向けた取り組みを展開している。これにより、Nurse and Craftのような企業が成長し、社会に積極的な影響を与える環境づくりを進めている。