異なる目的をつなぐ物流の未来
近年の物流業界では、AI技術の活用が進む中で、異なる目的やシステムを持つ企業間でも効率的な物流を実現するための新たな構想が発表されました。株式会社オンザリンクスとGhostDrift数理研究所が共同して提案するのは、「検証可能なフィジカルインターネット」構想です。この構想は、荷主や物流会社、物流拠点のそれぞれが、既存のシステムや目的を維持したまま、共同物流に参加できる仕組みを目指しています。
フィジカルインターネットの基本概念
この「フィジカルインターネット」は、企業が協力し合いながらも、各社の目的やデータをそのまま残し、異なるAIが交渉や判断を行える形式に変換することを可能にします。これは、すべての企業に同じAIや同じ経営目標を求めないという革新的なアプローチであり、効率的な物流を実現するための第一歩となります。
構想の3つの原則
本構想の柱となるのは、次の三つの原則です。
1.
目的を揃えなくていい - 共通に求めるのは同一の経営目標ではなく、「Beacon」と呼ばれる共通の物差しです。
2.
システムを揃えなくていい - 共通化するのはデータ基盤ではなく、それぞれの判断に必要な「意味」です。
3.
必要以上にデータを見せ合わなくていい - 共有されるのはデータそのものではなく、条件成立を確認できる検証情報です。
このように定義された原則に基づいて、AIアシュアランス基盤が設置され、各社のAIが生成した「物流判断パケット」と呼ばれる計画を構造化します。これにより、必要な条件が整ったかどうかを検証することができます。
共同物流の重要性
フィジカルインターネットが完結するためには、単にデータを接続し、効率的な輸送計画を立てるだけでは不十分です。特定の企業に負担が集中しないようにするためには、それぞれの企業が参加できる状況を整える必要があります。異なるシステムにおいて、計画に基づく成否を確認するための仕組みが求められるのです。これにより、共同物流が実現されるのです。
新技術の導入
株式会社オンザリンクスとGhostDrift数理研究所は、本構想を具体化するために4件の関連技術を国内特許へ出願しました。
- - 異なる目的を持つ企業が計画を共同で行う際に必要な同意や権限が整っていることを確認する技術。
- - 様々なデータソースを共通の判断条件へ変換する技術。
- - システム間でのデータ変換を行い、実行上の意味を確保する技術。
- - 基本的な情報を共有せずに条件成立を確認する技術。
これらの技術は、フィジカルインターネットを拡張・運用するために重要な要素です。
今後の展望
両社は、共同配送や車両・倉庫の共同利用を目指し、既存のシステムに影響を与えることなく本構想の展開を進めていきます。また、2026年に広島で開催される製造業AI物流カンファレンスでは、この構想を幅広い業界に提示し、議論を行う予定です。こうした活動を通じて、AI時代の物流ネットワークの社会実装を進め、安全で信頼性の高いAI判断モデルを確立していくことが目標とされています。
最後に
フィジカルインターネットは、単なる接続ではなく、異なる企業間の判断をつなぐ新しい物流の形を目指しています。AIが進化する中、企業はそれぞれの目的を持ち、独自のシステムを運営していますが、この新しい構想によって、効率的かつ柔軟な物流が実現されることが期待されています。将来的には、国内外を問わず、この仕組みを展開し、世界中の物流がスムーズに連携できるインフラを育てていくことが目的です。