広島で進化するメンタルヘルスケア
広島県北広島町において、株式会社アドダイス、広島大学の「脳・こころ・感性科学研究センター」との共同で、AIを活用したメンタルヘルスケアの実証実験が行われました。このプロジェクトは、広島県の「The Meet 広島オープンアクセラレーター Gov-Tech-Challenge」に採択され、約3か月間にわたって実施されました。
1. 背景と目的
近年、精神疾患による休職や退職が増加しており、地域のメンタルヘルスケアは重要な課題とされています。2025年には労働安全衛生法が改正され、その影響で全ての事業場にストレスチェックが義務化されることが決まりました。しかし、通常のストレスチェックは年に一度のみの snapshot であり、その間のメンタルヘルスの変化を捉えることができません。
この実証実験は以下の4つの目的を持って行われました。
1. AIによるメンタル不調の早期発見
2. 週次レポートを通じた自律的行動変容の促進
3. 睡眠の質や生活リズムのモニタリング
4. メンタルヘルスへのレポート介入の影響分析
2. 実証概要
実証実験は2025年9月29日から12月21日の約3か月間にわたり、合計34名の参加者が集まりました。参加者は北広島町役場の職員や地元企業の社員から構成され、計測デバイスとしてスマートウォッチが使用されました。これにより、バイタルデータが継続的に測定され、AI「ResQ AI」による解析が行われました。
介入方法として、参加者にはAIによる解析結果や改善アドバイスを含む週次レポートが配信されました。また、2回のInBody計測が実施され、筋肉量や体脂肪率も評価されました。
3. 驚くべき結果
不調の早期発見
AI解析の結果、重度のメンタル疲労が確認された参加者が複数名いました。ストレスチェックと異なり、ResQ AIを用いた連続的なモニタリングが「見えない疲労」のリスクを明らかにする可能性を示しました。
行動変容の実績
週次レポートを受け取った参加者は、自分の状態を客観的に把握させ、その結果として自律的に行動を変えることができました。
- - ある参加者は自らの平均歩数を知り、それを2倍に増やした結果、メンタルスコアを30%も改善させました。
- - 別の参加者は睡眠時間を1時間増やすだけで、疲労スコアが約50%も減少しました。
組織としてのレジリエンス
また、参加企業の一つでは、参加者の心の疲れスコアが一時的に上昇した後、週末を経て下降する傾向が確認されました。このことから、組織内において心理的な安全性が重要であることが示唆されています。
4. 課題と今後の展開
北広島町役場の職員からは、AIによるデータが自己認識を深め、主体的な健康管理への一歩となるとの評価が寄せられました。しかし、未知のデータ利用に対する抵抗感など、住民全体への展開には課題も残されています。
今後、アドダイスはこの実証から得た知見を基に、メンタルヘルスケアのさらなる向上を目指し、AI「ResQ AI」の有用性を広めていく予定です。この取り組みが地域住民の健康とウェルビーイングの向上に繋がることを期待しています。