国産レモンを有効活用した名刺素材「国産レモンペーパー」
株式会社ペーパルが、ポッカサッポロフード&ビバレッジと協力して新しい紙素材「国産レモンペーパー」を開発しました。この独自の紙は、これまで利用されていなかったレモンの剪定枝葉を使用しており、環境にやさしいアップサイクル素材として注目を集めています。2025年6月3日からはポッカサッポロ社で試験的に名刺に採用される予定です。
開発の背景
明治23年に設立された株式会社ペーパルは、創業から133年にわたり、紙や紙製品にこだわり続けている老舗の紙屋です。近年のサステナビリティへの関心を受け、同社では未利用資源に新しい価値を見出すプロジェクトに取り組んでいます。
一方で、ポッカサッポロ社も国産レモンの生産振興に努めており、レモン栽培中に発生する剪定枝葉の有効活用を模索していました。この二つの思惑が合致し、「国産レモンペーパー」プロジェクトが始まりました。
国産レモンペーパーの特長
「国産レモンペーパー」は、広島県大崎上島町のポッカサッポロ社管理のレモン圃場で収穫された剪定枝葉を使用しています。通常、レモンの枝葉は過酷な環境下で育つため、その特性を活かした紙作りが求められました。特に、枝には硬いトゲがあり、それを紙の原料として均一に加工するためには高度な技術が必要です。
工夫と選別
ペーパルでは、この素材の水分量や繊維構造の違いを活かすために詳しい研究と試行錯誤を行いました。不純物を取り除くための手作業による選別や、最適な乾燥・粉砕方法の検証を重ね、最終的な混抄率は1%に達しました。この過程を経て、品質の高さを実現しています。
印刷適性も考慮されており、名刺として使う際に美しい仕上がりが求められます。レモン由来の自然な風合いを最大限に生かし、手触りも良好で、見る人に温かみを感じさせます。これは、複数の加工技術を組み合わせることで可能となりました。
株式会社ペーパルのSDGsへの取り組み
株式会社ペーパルは、1870年から日本の紙文化の発展に寄与してきました。近年は、FSC®/COCを取得したことで、「循環可能な素材」としての役割を持つ紙を提供しています。また、「フードロスペーパー」のような新たなプロジェクトも進行中で、脱プラスチック、脱炭素を意識した製品開発にも注力しています。
今後も、未利用資源を活用した製品の開発を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを続けていくことを明言しています。
まとめ
国産レモンペーパーは、環境への配慮と地域貢献を同時に実現した新しい紙素材として、多くの人に愛されることでしょう。ぜひ、名刺としての仕様だけでなく、様々な場面での活用が期待されます。これからの展開にも注目し続けたいですね。