採用活動が地域貢献に直結する「ミライゴト」の挑戦とは

一般社団法人ミライゴトが広島県福山市で新たに始動した「ミライゴト」は、採用活動と地域貢献を融合させる革新的な人材マッチングサービスです。一般的な採用活動は企業にとって負担となる一方、地域社会にはその恩恵がほとんど届かないという現状を改善するために開発されたこのサービスについて詳しく見ていきましょう。

現状の採用市場の課題

日本の採用市場は現在、多くの企業にとって厳しい状況にあります。高額な採用費用に対し、離職率が約30%という不安定な人材の確保が続いているのです。例えば、企業は人材紹介手数料として年収の30%から35%を支払う必要があり、これに加えて求人サイトへの掲載料も数十万円に上ります。そのため、この費用が本当に人材の確保に見合った投資となっているのか、いま一度考え直す必要があります。

「ミライゴト」の提案

「ミライゴト」が提唱するのは、採用活動における根本的な発想転換です。従来の「完成された人材を獲得する」スタイルから、「企業と若者が共に成長し、地域の未来を創造する」採用への改革を目指します。これにより、採用費用は無駄な消費ではなく、地域への投資として活用されることになります。

この取り組みは、特に地域貢献を重視した循環型の収益モデルにより実現されます。企業が支払う採用支援費用は、若者の創業体験支援や中高生の居場所づくりに直接還元されるのです。この仕組みを通じて、企業はCSRやSDGs活動の一環として地域への貢献を実現でき、同時に優秀な人材を育成することが可能になります。

地域貢献の具体的な活動

ミライゴトでは、企業からの支援金を以下のような活動に充当します：

- Sta-shプログラムの運営費：若者の創業体験をサポート
- STUily活動支援：中高生の居場所づくり事業の推進
- 若者の挑戦プロジェクト：挑戦したいことを実現するための資金提供
- 継続的なメンタリング・サポート：若者の成長を支援する体制を構築

これにより、若者たちは資金的な制約なく「やってみたい」ことにチャレンジでき、自分たちを支援してくれる地域への愛着が生まれます。

地域社会への貢献

ミライゴトが注目するのは、地域の育成や経済基盤の強化です。高額な採用費用が地域に還元されない側面に対処することで、地方都市における人材の流出を防ぎ、地域の活力を取り戻すことが期待されています。企業と若者の新たな関係性が生まれることで、互いに成長を促し合い、持続可能な地域が形成されていくでしょう。

6年間の実績と未来のビジョン

特に、ミライゴトは過去6年間で340名以上の若者と関わりを持ち、その実績をもとに段階的なアプローチを実施しています。信頼基盤の構築から始まり、地域課題に共同で取り組むことで、持続的な人材育成のサイクルを作り上げています。これを地方で実現することで、他にはない地域の特性を活かした採用モデルとして展開を期待しているとのこと。

まとめ

「ミライゴト」が目指すのは、単なる採用市場の変革ではなく、採用活動それ自体が社会全体の価値創造活動へとつながることです。企業は優秀な人材を得て、若者は地域で自分らしいキャリアを発見し、地域社会は持続的に発展する。この新しい循環が福山市から全国に拡がることが期待されています。地域貢献を意識した採用のあり方を提案する「ミライゴト」の取り組みに、今後も注目です。