「香りの授業」:府中明郷学園での体験
2025年4月21日、広島県府中市立府中明郷学園では、興味深い教育プログラム「香りの授業」が行われ、生徒たちの五感が刺激される貴重な体験が展開されました。これは、SCENTMATIC株式会社が提案するもので、嗅覚という新たな角度から自分の言葉や物語を創作する機会を子どもたちに提供します。
この授業は、地域への愛着を深め、香りを通じた感性教育を促進することを目的にされています。府中市の行政や企業との連携があり、地域資源を活用した共創型のプロジェクトとして実施されました。参加者には府中市内の産業や文化に対する新たな視点を提供し、未来に向けた創造力を育むことが期待されています。
プログラムの流れ
授業は、参加する6年生の児童が香りに集中することから始まりました。まずは目を閉じ、香りに耳を傾けます。次に、自分が感じたことや思い浮かんだイメージを自由に書き出していきます。そして、それらのメモの中から好きな言葉を選んで、オリジナルの物語を作成。最後に、完成した物語をクラス全体で発表し合うという流れです。
参加者の声
児童たちの反応は非常にポジティブでした。「木の種類によって香りが全然違うのが面白い」と話す生徒が多く、特に、「雨あがり」「秋の朝」「府中市にあるポムポムという遊び場」といった具体的なイメージが浮かんできたという感想が印象的でした。また、物語を作ることに慣れている生徒からも「香りを取り入れて言葉にするのは初めてだった」という声があり、香りが持つ力を改めて実感した様子でした。
ある生徒は、甘い香りの松の木からインスピレーションを受け、リスとトラが蜜を分け合う物語を考えました。「今日の授業で香りからさまざまな物語が作れると思ったので、家の中でも他の香りを探して実践してみたい」とのこと。
科学的背景
この「香りの授業」は、東京大学との共同研究に基づくものです。香りと言葉を同時に取り入れることが、脳のさまざまな領域を活性化させる可能性が示されているため、独自の教育プログラムとして導入されました。この教育アプローチは、ただ単に香りを楽しむだけではなく、言葉を通じて思考を広げ、地域や文化とのつながりを深めることにも役立ちます。
セントマティックは、香りを言語化するAIシステムを利用して、様々な分野で新しい体験価値を生み出しています。鼻から感じる体験が、どのように感情や記憶と結びついていくのか、これからも注目されることでしょう。
まとめ
香りの授業を通じて、子どもたちは楽しいだけでなく、学びを深められる機会を得ました。広島県府中市の明郷学園における今回の取り組みは、地域を愛する気持ちを育てる素晴らしい試みであり、今後の展開にも期待が寄せられます。地域とのつながりを活かす教育の新しい可能性を感じられる時間となったことは間違いありません。