小倉桂子さんの講演
2026-05-20 12:53:29

小倉桂子さんが語る、戦争と平和の大切さを学ぶ特別講演

IEP特別講演:小倉桂子さんの深いメッセージ



2026年5月6日、叡啓大学では、被爆者であり語り部の小倉桂子さんを招いた特別講演が行われました。この講演は、英語集中プログラム(IEP)の一環として開催され、上杉裕子教授が主導しました。これまでに4度目となる小倉さんの講演では、「私が体験した戦争の始まりと終わり―ラジオと学校が私のすべてだった―」を題に、彼女の幼少期の体験や通訳者としての活動、核兵器の廃絶に向けた思いを英語で語りました。小倉さんの言葉は、被爆の実相と、次世代に託す平和へのメッセージとして、聴衆の心に深く響きました。

幼少期の被爆体験


小倉さんは、1945年8月6日、わずか8歳で広島の原爆を経験しました。当時、自宅付近で閃光を感じ、自身は爆風によって吹き飛ばされ意識を失いました。彼女が当時通っていた小学校は爆心地から1km圏内にあり、運良く転校していなかったことで命を救われました。父親の「今日は学校に行かない方が良い」との予感は、結果的に彼女の命を繋いだのです。目を覚ますと周囲は暗く、弟の泣き声を頼りに自宅へ戻ると、翌日には街が完全に破壊されているのを目の当たりにしました。

また、熱線により藁葺き屋根の農家が自然発火する光景や、爆心地から離れた地域に降った「黒い雨」によって、多くの人々が健康被害を受けていたことも語られました。このような壮絶な光景が小倉さんの心に深く刻まれました。父親は被爆翌日から、自宅近くの空き地で700人以上の犠牲者の火葬を手伝いました。

的確な視点が必要な原爆の惨状


小倉さんの講演では、広島市中心部での惨状も詳細に語られました。多くの学生が被爆し、小倉さんの兄が通っていた学校では約300人の後輩と1年生が全滅しています。兄はB29から何かが投下されるのを目撃しましたが、閃光を直視しなかったため失明を免れました。また、爆心地から逃げた人々が、顔の皮膚が剥がれ落ちた状態で広島駅を目指して歩く姿が印象深く語られ、救えなかった命に対する罪悪感が強調されました。

通訳者への転身


小倉さんは、41歳まで専業主婦でしたが、夫の急逝をきっかけに通訳の道へ進みました。広島平和記念資料館の館長であった夫が関わっていた書籍の著者から通訳の仕事を依頼され、20年ぶりに英語を再開しました。この初仕事では言葉が分からず聴衆から助けられたことを振り返り、自らを高めるために独学で学び続けました。YMCAで英語を教えつつ、通訳者としての経験を積んだのです。

核兵器との対話


講演の中で、小倉さんはオッペンハイマーの孫やトルーマン大統領の孫と対話した経験についても触れました。特にトルーマンの孫に対して抱いた最初の憎しみは小倉さんの内面的葛藤を強くしました。ロスアラモス研究所の科学者との対話では、彼らが空中爆発の最大の被害を認識し責任を感じていることに衝撃を受けたといいます。

アメリカでの講演では、かつては「原爆のおかげで救われた」と感謝されたこともありましたが、最近では涙を流し謝罪する人々が増えていると話し、核兵器を知ることの大切さを強く感じていると述べました。

被爆者の苦悩


多くの被爆者が持つ「助けられなかった自分」を責める感情や、将来の子どもへの遺伝的影響を恐れて語れなかった人々の現実も紹介されました。小倉さんは、次代の証言者が減少することに危機感を持ち、88歳になった今、「語り続けることが自分にできる唯一のこと」と話しています。

学生たちとの活発な対話


講演の最後には、学生たちが多くの質問を寄せ、小倉さんはそれに真摯に答えました。講演後も学生たちは小倉さんを囲み、対話を続け、未来に向けた希望が感じられる瞬間となりました。小倉さんは、本学の学生たちの知識欲と情熱をとても高く評価し、この世代にしっかりとメッセージが届いたと確信しました。

次世代への重要なメッセージ


講演の中で、小倉さんは以下のような重要なメッセージを伝えました。想像力と対話の力、行動する市民としての姿勢、コミュニケーションの本質など、次世代に向けた多くの教訓が示されました。平和の意味を再確認し、自分自身の心の平和を考えることが、すべての人に求められていることを強調しました。

小倉桂子さんの講演は、被爆の記憶を風化させないために、次の世代がどう向き合っていくべきかを考えるきっかけとなりました。本学の学生は、小倉さんの貴重な経験とメッセージを心に刻み、未来へと繋げていくことでしょう。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

関連リンク

サードペディア百科事典: 叡啓大学 被爆体験 小倉桂子

トピックス(イベント)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。