外食企業が提唱する新たな生産と調達の形とは?
近年、外食企業が直面している調達環境は急変しています。円安や原材料価格の高騰、さらには海外事業者との競争が激化する中で、必要な食材を確保することが一層難しくなっています。このような厳しい環境において、外食企業は「仕入れる」だけでなく、食材の生産から関わることで安定調達を図る新たな動きが広がっています。
外食企業が生産現場に参入する理由
外食産業の複雑化した調達状況を背景に、経営の根幹となる原材料の安定供給は急務です。農林水産省も食品事業者と産地の連携強化を施策に位置付けており、この流れの中で多くの外食企業が生産者と手を組むことに注力しています。
特に、魚介類を取り扱うくら寿司の例では、2010年から「天然魚プロジェクト」を開始し、全国に120以上の漁協や漁港と直接取引を行っています。これにより、安定した食材調達とともに、生産者にとっての収入安定化にも貢献する仕組みを構築しています。
新しい調達モデルの広がり
この他の企業も生産現場との連携を進めており、サイゼリヤは自社で農地を取得し、契約農家と連携した生産体制を整えています。モスフードサービスも地域生産者と共同で農業法人を設立し、全国で生野菜を安定的に調達しています。これらの例からも、外食企業が業態を超えて生産プロセスに関与する動きが伺えます。
AIが支える漁業の未来
世界的な水産物の需要が高まる中、漁業の担い手不足や水産資源の減少といった課題も浮き彫りになっています。くら寿司の「KURAおさかなファーム」では、AIを活用したスマート養殖を導入し、生産者のコストや労働負担を軽減しています。
この取り組みにより、サバやハマチなど、高付加価値を持つ魚種の養殖が進んでおり、将来的には更なる成長が期待されます。また、魚が育つ環境を整えることで、漁業従事者の負担軽減のみならず、新規就業者の増加にも寄与しています。後継者問題を解決し、持続可能な漁業を支える新しいモデルを構築することが期待されます。
変化する消費者のニーズ
消費者からの品質や安全性への期待も高まっており、企業はその期待に応えるために新たな戦略を模索しています。単なる仕入れから生産まで関与し、品質や食材の調達法を見直すことは、企業の信頼性を高める一助となるでしょう。くら寿司でも、生産者との密な連携により、安心して食べられる食材の提供を実現しています。
このように、外食業界では「共に育てる」関係の構築が進みつつあります。今後も各企業が取り組む新たな生産と調達の形に期待が寄せられます。