高機能ヒト肝細胞の新しい供給形態、凍結技術の進化
広島県東広島市に本社を置く株式会社フェニックスバイオが、医薬品研究に重要な役割を果たす凍結ヒト肝細胞「PXB-cells Cryo」の発売を発表しました。この製品は2025年4月1日より販売が開始され、ヒト肝細胞の機能を維持しつつ、それを凍結保存する技術により、従来の課題を解決する新たなアプローチを提供します。
背景と業界のニーズ
創薬研究においては、初代ヒト肝細胞の需要が高まっていますが、その供給には多くの問題があります。ドナーからの細胞提供は限られており、またドナー間での肝機能の差異も大きいことから、高機能なヒト肝細胞を安定的に確保することに難がありました。加えて、現在の研究環境では、in vitroでのヒトの生体内機能の再現が求められており、これには高機能なヒト肝細胞が不可欠です。
フェニックスバイオの独自技術
フェニックスバイオは、独自の技術を用いてヒト肝細胞キメラマウス(PXBマウス)を作製し、その体内で細胞を増幅させる手法を確立しました。この過程によって得られた「PXB-cells」は、機能性と供給の安定性が高く、研究者にとって必要不可欠な材料とされています。しかし、新鮮ヒト肝細胞の長距離輸送には課題があり、特に海外市場での高コストが問題視されていました。
新製品「PXB-cells Cryo」の特長
新しく登場する「PXB-cells Cryo」は、ヒト肝細胞を独自の方法で凍結保存し、機能を損なうことなく供給することが可能です。接着性や細胞の形態は新鮮な「PXB-cells」と同等で、長期培養も対応可能です。また、アルブミンの産生能力やCYP mRNAの発現、トランスポーター機能も高く維持されている点が特徴です。
さらに、凍結により長期保存が可能となり、大量購入によって海外への輸送コストを削減できます。研究者が必要に応じて凍結ヒト肝細胞を使用できることから、創薬研究の多様なニーズに悩みを解消します。
製品情報
「PXB-cells Cryo」は、5×10^6細胞を含むバイアルを予定価格150,000円で販売予定です。ウェブサイトではより詳細な情報が提供されています。
今後の展望
創薬研究における初代ヒト肝細胞の市場は拡大していくと言われています。フェニックスバイオは、独自の技術を活用し、国内外の研究者に安定的に高品質なヒト肝細胞を提供し続けます。新製品により、これまで難しかった海外の研究者にも手頃に高機能なヒト肝細胞が利用可能となることが期待されています。
結論
この凍結保存技術の進化は、創薬研究に新たな可能性をもたらします。今後もフェニックスバイオは、ユニークな製品開発を進め、研究の発展に貢献していく所存です。
本製品の開発には、広島県のバイオエコノミー産業創出支援事業費補助金が支援されています。
注1:「PXBマウス」及び「PXB-cells」は株式会社フェニックスバイオの登録商標です。
注2: 本ニュースリリースに記載された内容は発表時点でのものであり、予告なく変更されることがあります。