安八町立結小学校が取り組む平和を支える学びのプロジェクト

安八町立結小学校が挑戦する平和を支える学び

2025年10月30日、岐阜県安八町の結小学校で開催された「世界とつながる学びプロジェクト」に関する講演会と全校発表会。特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトが主催し、経済産業省の補助を受けるこの活動は、全国50校を対象にした“往還型グローバル探究学習”として展開されています。生徒たちが自らの学びをより広い世界へとつなげ、実際に誰かを助ける力を持つことを実感することを目指しています。

学びを通じて世界とつながる子どもたち

結小学校では、すべての学年の児童が「自分たちの学びが、世界の誰かの役に立つ」という共通の目標に向けて活動を進めています。今回の発表会では、各学年が作り上げた教材やアイデアが、冬には海外の現場で使われる計画が進んでおり、国際的な実装に向けた準備が進捗しています。

なかよし学園の代表である中村雄一氏は、児童たちの活動を「CoRe Loop（Co-create & Return Loop）」と呼び、子どもたちが制作したアイテムが現地で使われた後、その反応が学校に戻る循環を強調しています。これにより、子どもたちは自らの学びが世界に繋がっているとの実感を得ることができるのです。

各学年の具体的な取り組み

1年生：アサガオのしおり

1年生は理科と生活科で育てたアサガオからしおりを作成しました。このしおりはルワンダの教育支援授業に持って行かれ、現地の子どもたちに使われる予定です。担任の先生は「彼らのアサガオがアフリカによって学びを支えたことが伝わると子どもたちの表情が変わった」と話しています。これにより、1年生から国際概念を体感しています。

2年生：おもちゃの支援

2年生では、子どもたちが「友達にプレゼントするおもちゃ」を作りました。その発想は「支援物資」ではなく、共に遊びたい気持ちが焦点です。子どもたち自身が「おもちゃで遊ぶ会」を企画し、本当に楽しさを再確認した上でおもちゃを選定します。この新たな視点は、子どもたちの考え方に質の高い変化をもたらしました。

4年生：防災アイデアの探求

4年生は「防災」をテーマに、限られた資材での知恵を探求しました。彼らはスリッパや簡易シャワーを新聞紙やペットボトルで作成し、簡単に実用的に生かせるアイデアを考えました。また、「防災BOOK」を作り、避難方法を日本語と英語でまとめて、海外の子どもに伝える仕組みを作りました。この取り組みは、災害が国や言語を問わず同じ目標を持つことが分かるよう伝えています。

5年生：米作りを通じた国際支援

毎年、5年生は地元の協力を得ながら米作りを実施し、今年はその収穫物で世界に食料支援をする計画です。担任の佐々木先生は「世界の実情を理解することが学びを変えた」と述べており、子どもたちもその重要性に気づくようになりました。

6年生：平和を築く

6年生は、平和学習に取り組み、絵本『はじめてのヒロシマ』を翻訳し、国際的な視点で理解することの重要性を学びました。平和が願うものではなく、自らが築くものであることに気づかせる内容となっており、その翻訳作品は現地の授業でも利用されている状況です。

地域全体で支えるプロジェクト

安八町教育委員会の協力により、このプロジェクトは学校にとどまらず、地域全体で子どもたちの学びを支える取り組みへと広がっています。参加者たちは、その背景にある「誰一人取り残されない世界という考え方」や、子どもたちが抱く「助けたい」という気持が地域の課題とつながり、さらなる発展を期待しています。教育委員会は、なお一層の地域からの支援を進める意向を示しており、安八町の全ての子どもを対象にした学びの枠組み作りに注力しています。

このように、結小学校は単に学びを提供するだけではなく、子どもたちが実際に世界へ行動を移し、平和を支える担い手として成長する道筋を提供しています。彼らの活動は今後、さらに多くの地域に広がることが期待され、子どもたちの成長が世界の未来を見据えたものとなることでしょう。