広島での特別な上映会「テレビが記録したヒロシマ」
2025年8月15日から17日までの3日間、広島平和記念資料館にて、NHK広島放送局と民間放送4局の共催で「テレビが記録したヒロシマ」上映会が開催されました。このイベントは被爆70年の節目を迎えた2015年から毎年行われており、今年で9回目を迎えます。
上映作品と解説付きの特別プログラム
今回の上映会では、核や平和に関連した18作品が特集され、週末には各局の番組制作者による解説付き上映が行われました。特に注目を集めたのは、テレビ新広島(TSS)による「アイ アム アトミックボム サバイバー~小倉桂子が伝え続ける理由~」。この番組は、米軍による原爆投下の生存者である小倉桂子さんの生の証言をもとに制作され、石井百恵記者が解説を担当しました。
解説では、小倉桂子さんの重要性や、彼女の体験がどのように後世に引き継がれていくべきかについて語られました。このプログラムは、被爆者の証言を通じて戦争の恐ろしさを再認識しようとする訪問者に新たな視点を提供しました。
来場者の反応と外国人観客の増加
今年の上映会には、広島県内外から多くの来場者が集まり、計1465名が参加しました。特にTSSの解説付き上映には、18作品の中で最多の166名が訪れ、地元の人々だけでなく、海外からの観光客も英語字幕を使って真剣に視聴する姿が見られました。
来場者からは、「戦争や原爆について深く考えさせられる機会になった」「実際の体験者の言葉には非常に重いものがある」といった感想が寄せられ、上映会の重要性が再確認されました。
横浜会場でのオンライン中継
さらには、今回初めて広島の解説付き上映がオンラインで中継され、横浜市にある放送ライブラリーでも上映会が同時開催されました。この試みは大変好評で、関東地方に居ながらも広島の制作サイドの意見を直接聞ける貴重な機会となりました。横浜会場では196名が参加し、質疑応答で参加者の興味を深める場面も見受けられました。
掲載された感想は、参加者が戦争と原爆について再考を促されるものばかりでした。一方で「今後もこのような上映会を続けてほしい」との声も多く、なぜなら戦争経験者の高齢化が進む中、数少ない証言者の言葉がますます貴重になっているからです。
放送ライブラリーとは
放送ライブラリーは、日本唯一の放送番組専門のアーカイブ施設であり、テレビやラジオの番組を約4万本無料で公開しています。ここでは展示やセミナーなどを通して、放送文化の理解を促進する活動も行っています。
最後に
「テレビが記録したヒロシマ」上映会は、単なる映像の鑑賞にとどまらず、参加者が歴史や戦争を考える貴重な場を提供してくれました。次回の開催にも期待が高まる中、広島の記憶を次世代に繋いでいくための取り組みが続いていくことを願っています。