はじめに
広島に今、アートを用いて平和について考える新たなプロジェクトがスタートします。その名も「戦後80年 平和モニュメントプロジェクト 2025〜 問いかけのかたち」。このプロジェクトは、若者たちとアーティストが協力し、平和について語るのではなく、問いを投げかけることを目指しています。
このプロジェクトの舞台は、復興の象徴である「Pride of Hiroshima」。ここでは、自然の美しさや静けさを感じられる花や竹を通して、せかいへの静かなメッセージを届けます。このモニュメントは、ただの展示ではなく、目に見えない問いを観客に投げかけ、心に響く瞬間を創出するものです。
記念ではなく問いの形
私たちの周囲では、戦争の記憶が薄れつつあります。しかし、世界各地では未だに争いが続いており、平和の本質についての真の答えは得られていません。だからこそ、私たちは記念や主張を超えたアプローチを選びました。それは、答えを示すのではなく、考える余地を残すことです。観る者にはその余白に立ち止まり、思索することを促します。
アートが語る平和
平和を語ることにはさまざまなリスクが伴います。他者を傷つける可能性があるからです。故に私たちは言葉ではなく、アートという形を選びました。花や竹それぞれが持つ静けさや儚さを通じて、人々の心に直接的に訴えかけます。このモニュメントは、観る者が耳を澄まし、自らの解釈をいかに噛みしめるかを問いかけるものです。
草木が蘇る場所に問いを植える
「70年間は草木も生えぬ」と語られた広島。その地で未来を語ろうとする若者たちがいます。彼らと共に咲かせる「問いの花」は、過去を振り返るだけでなく、今を生きる私たちに未来を考えるきっかけを与えてくれます。沈黙と再生が繰り返されたこの土地だからこそ、再び問いかけることが求められています。私たちは、広島から平和の真髄を再考することができると確信しています。
展示詳細
- - 展示名:戦後80年 平和モニュメントプロジェクト 2025〜 問いかけのかたち
- - 会期:2025年8月26日(火)〜9月14日(日)
- - 会場:Pride of Hiroshima(広島県広島市中区基町5-25 ひろしまゲートパーク内「シミントひろしま」C棟2F)
- - 開館時間:10:00〜18:00 休館日:月曜
- - 入場料:無料
このモニュメントの完成には、会場を訪れるすべての人が参加することが不可欠です。一人ひとりの「言葉の花」を咲かせることで、初めてこのアートは完成します。あなたの参加が求められているのです。
制作体制
本プロジェクトは広島大学モニュメントプロジェクト実行委員会が主催し、株式会社美榮との共催で展開されています。また、広島大学やPride of Hiroshimaといった様々な機関の協力によって成り立っています。特筆すべきは、華道部や竹あかりの演出家がプロジェクトに関わっている点です。これにより、伝統と現代の技術を融合させた独自の表現が生まれています。
未来へつなぐ問い
このプロジェクトは、全国的に展開される「問いのモニュメント」シリーズの一環です。長崎での展示を経て、学生が主体となった特別な回は、未来を担う世代の声を広める重要な機会です。若者たちが問いを立てることで、未来を見据えた新しい文化を創出することを目指します。
最後に
この展示にはメッセージも答えもありません。観る者が自らの内面と向き合わせられるような問いかけが存在します。それを見つめ、考えるのは皆さん自身です。80年目を迎える今、再び平和について考える時間を持つことができることを願っています。私たちの問いが、心に残る静かな灯火となりますように。
お問い合わせ
広島大学モニュメントプロジェクト実行委員会
担当:橋詰 徹
メール:
[email protected]